#おかしぃオーディオ

オーディオ製品の感想を書いていきます。たぶん

Westone Audio PRO X50 レビュー

Westone AudioのPRO X50イヤホンを使って1年くらいになるので感想書きます。よろしくお願いします。

年に1、2回発症するイヤホン欲しい病が発症してしまったのでイヤホン屋さんで試聴した中でPRO X50の軽薄なボディから重厚なサウンドが聞こえてきたのでギャップに萌えてその場で買ってしまいました。手持ちのイヤホンに無い音傾向だったってのもあります。

外観

線ほっそ

真っ先に目を引くのがケーブルの細さ。デンマークEstron社のLinum Baxという名前で線材にアラミド繊維を使用してて見た目に反して強度は高いそうです。実際使ってみて半年くらい手荒な扱いをしてきたのですが断線する気配がありませんでした。そんで細いだけでなく柔らかいので装着時の取り回しは手持ちのイヤホンの中で最高です。タッチノイズも極小でめっちゃ良いのですが欠点として細くて柔らかいがゆえにとにかく絡まりやすいです。聴き終わってから指先にケーブルくるくる巻き付けてポケットにしまおうもんなら次回聴くときは十中八九毎回ケーブルの絡みをほどく作業から始まります。丁寧に付属のシリコンバンドで縛ってケースにしまえば絡まなくなりますが、個人的にはもっと気軽に使いたいです。

続いて本体ですがこちらもIEMイヤホンとしてはかなり小型です。この大きさで5BAとかちゃんと収まるのかよと思いますがクリアボディからBAドライバが整然と並んでるのが見えます。よくよく見ると各BAからの出音をまとめるパーツに型番の50が刻印されてあったりクロスオーバー(ネットワーク)回路が別基盤でも空中配線でもなく低音用の大型BAドライバ上に配置されており、なるほどこういう工夫でコンパクトにまとめてるんだなぁと関心して聴くだけでなく見る分にも楽しめるデザインになってます。

実際に装着してみると着けてることを忘れるくらい…とまではいきませんが装着してる感は他の大型IEMイヤホンとくらべると快適に感じます。また本体が薄く装着時に耳からはみ出ないため就寝時に枕に押されても圧迫感が少ないので寝ホン(イヤホンしたまま寝ること)にも最適です。遮音性は特別優れてる感じはしません。

音質

AK SR25MKIIやiFi GO Barとかに繋いで聴きました。音量は取りやすい方だと思います。スマホ直挿しでも音量不足にならず十分良い音で聴けますが、高音質DAPやHPAに繋げばさらに良くなるポテンシャルも感じられます。

全体の音のバランスは中低音が盛り上がったカマボコな感じです。とにかく中低域の厚みが際立ちます。しかも単に厚いだけでなくモヤモヤとした雰囲気を醸し出しておりかなり特徴的なサウンドです。アタックやディテールは控えめで音色や響きを重視しており、ピアノソロで言えば最初の打鍵音やペダルを踏む音、奏者の吐息といった部分は目立たず音色そのものやホールの響きが強調される感じです。ボーカルなら子音の口の動きよりも声色がより聞こえる感じで、リップノイズも目立たないのでペチャペチャ聞こえてくるのが苦手な人でも安心して聴けるかと思います。モヤモヤしつつもマルチBAらしく複数の音が重なり合っても潰れずにしっかり分離して聞き取ることができます。

こんな特徴的なバランスの割に他に不快な癖やキツさは感じられません、というよりも意図して徹底的に抑えられているようにも聴こえます。試しに音量をバカみたいに上げてみると他のイヤホンだとうるさくてすぐに音量を下げてしまうところ、本機だと不思議とうるさく感じられず、そこから調子に乗ってさらに大音量にすると音圧に負けてしまうのか耳が痛くなってしまいます。それ程までに耳に優しい音を出すというコトなのかもしれませんがそれゆえに音量の上げすぎに注意が必要なイヤホンとも言えます。

中低音の厚みに対して高音側は控えめな印象ですが割りかし高い音域まで出ておりモヤモヤした中で時折キラッ☆と飛び出してくるような鳴り方をしています。付属シリコンも悪く無いのですが付属のフォームタイプや社外品のイヤーピースに変えると明瞭さが向上します。私はFinal E-typeやAzla Xelastic等試していった結果今はSpinfitのCP100+に落ち着いています。サッと装着出来てビタッとホールドしてくれる感じが良きです。

リケーブル

UE SuperBax Cable with Earloopというケーブルにリケーブルしてみました。名前にある通り元はUltimate EarsのIEMの純正ケーブルなんですがコネクタは名前はIPXと違えどT2と同形状なので問題なく使えました。BaXケーブル2本をそのまま纏めた見た目ですがそれでも他のケーブルに比べると細い方だと思います。タッチノイズは多少増えたものの適度な硬さと太さなので圧倒的に絡みにくくなりました。ただでさえ丈夫なBaXが2本分になったので強度的にも期待が持てます。

音質の変化ですが同じLinumシリーズだけあって傾向もほとんど変わらない感じです。BaXよりも細かい音が鳴るようになった気がします。それゆえか少しざわついたような落ち着かない感じもするのでクラシックの交響曲で鳴ってる音を余すことなく聴き取りたい場合には良いかもしれませんがポップスとかで表で鳴ってるパートに集中して聴きたいときはBaXの方が向いてるようにも思えます。

両者を交互に聴き比べてなんとなく違う気がするレベルの変化なのでもっと大きな違いを求めるならNobunagaのDiabloやBrise AudioのSTR7 As-Isあたりが試してみて結構変わった印象でした。個人的にはDiabloは丸く柔らかめに変化するので温厚なPRO X50がさらに温厚になる感じがしてあんまり合わないなぁと思いました。対してSTR7はドンシャリめいた変化なので好印象でしたがケーブルが硬くて取り回しは微妙でした。イヤホン本体が軽いのでケーブルも細い方が好ましいですが音質も良いとなると結局BaXシリーズが現状ベストかなぁと思います。あと代理店の人から聞いたのですがMachシリーズ上位機に付属されてるUltra BaXが今年中に単品で発売されるらしいとのコトで気になっています。

まとめ

というワケで色々書いてきたPRO X50ですが濃厚な中域と刺さりやキツさとは無縁の優しさに包まれるようなサウンドは長時間のリスニングも苦にならずいつまでも聴いていたくなる魅力がありますし、小型軽量なボディと極細ケーブルで取り回しの良さは快適そのものです。購入して1年が経ちその間他にもイヤホンをいくつか買い足してますがまだまだ本機は手放せそうにありません。毎日のお供として気軽に使えるイヤホンを探してる人にぜひおすすめしたい製品です。

おわり