#おかしぃオーディオ

オーディオ製品の感想を書いていきます。たぶん

Shanling M0 Pro レビュー

Shanling M0 ProとかいうDAPを買ってしまったのでレビューという名の感想記事です。よろしくお願いします。見ての通りの超小型ボディですがその実力は如何ほどでしょうか、見てみましょう。

購入経緯

普段私はAstell&KernのSR25 MKIIを持ち歩いてるんですが、比較的コンパクトなDAPではありますがそれでもズボンのポケットに突っ込むには若干大きくて、もうちょっとだけ小さいDAPが欲しいと思い続けていた所M0Proが発売されたと聞き早速お店で試聴した結果良さげだったのでその場で買いました。小さいやつならもうウォークマンNW-A55を持ってるのに買い足してるのは何故でしょうか。

スペック

本体重量わずか36.8㌘の筐体にES9219C DACチップを2つ搭載しており最大384kHz/32bit、DSD128までのハイレゾ音源に対応。バランス出力も備え、USB/Bluetoothトランスポート・レシーバー機能もあり、1.54㌅タッチディスプレイに独自のMTouch OSを搭載。650mAhのバッテリーで最大14.5時間(バランスは10時間)可能とのことです。超小型ですが普通サイズのDAPと遜色ないスペックです。ちなみに音源を書き込める本体ストレージは搭載してないのでmicroSDカードが必要になります(最大2TB)。

外観

箱です。「Life is short, play more」ってスローガンみたいなのが書かれてるのが印象的です。人生百年時代と言われてますがそれでも音楽を聴くには短すぎるというのでしょうか。ストリーミング配信の登場で誰でも数千万曲もの音楽が聴ける様になりましたが全部の曲は一生かかっても到底聴ききれそうにありませんし、言われてみれば確かにそうかもしれません。ちなみに本体OS上にも表示があります。

本体と付属品です。保護フィルムとUSBケーブル、簡易的な取説が入ってました。

M0 Pro本体です。グリーンを買いました。他にもレッド、ブラックとありまして最初レッドが良いなぁと思ったんですがすでに似たような色合いのガジェットを沢山持ってるので今回は違うものをということでグリーンダヨ。こうしてみると全体の形状はShanling DAPの上位機M3XやM8に合わせてると言いますかそのままミニチュア化したように見えます。物理ボタンはボリュームダイヤル兼用ボタンのみで、選曲キーがありませんが2回押しと3回押し操作で再生・停止、曲送り、曲戻しのいずれか割り当てることが出来ます。私はとっさに曲を止めたいときがあるので2回押しに再生・停止を割り当てました。

別売のケースも買いました。本体に合わせて3色用意されててこちらも合わせてグリーンに。なんだか竹みたいな色合いです。しっかりした作りでそうそうボロくなるようなことは無さそうな気がします。

端子類は本体下部に集約されています。写真左からmicro SDスロット、Type-Cポート、そしてヘッドホン出力。そういえばM0Proはバランス出力対応とありますがどこにバランス端子があるかというと…

バランス接続用アダプター。右はNW-A55HN付属のNCイヤホン

このように変換アダプターを使います。こちらも別売です。正直そんなに高価なもんでもないですし本体付属でも良かったんじゃないかと思いました*1が破損や紛失したときに買い直せるのがメリットだと気づきました。3.5㍉5極プラグから4.4㍉5極ジャックに変換します。3.5㍉5極プラグどこかで見たようなと思いきやウォークマンA55に付属してたノイキャンイヤホンと同じでした。M0Proに挿さりますが何が起こるか分からないので電源は入れませんでした。

操作とか

起動画面。ここにも謎スローガンが

電源投入します。電源ボタン押してから4秒程度で立ち上がります。非Android系OS特有の高速起動がありがたいですね。全体的なレスポンスも良好です。操作は音量以外はすべて画面タッチにて行います。ホーム画面から各種メニューをタップで決定、左端から右スワイプで戻るのが基本です。画面が1.54インチしかないのと若干癖のある操作で多少の慣れが必要だと思いますが慣れたのでぼちぼち快適です。ホーム画面で下端から上スワイプでBluetoothオンオフ、再生モード切り替え、画面明るさ調節のショートカットが出てくる他、ホーム以外で画面のどこでもタップ長押しでホーム画面に戻るといった小さな画面でも少しでも使いやすくなるよう色々工夫がなされています。

文章を読むよりもこの辺は実際触ってみないと分からないので購入希望のある人は実機を触れるなら触ってみた方が良いと思います。

選曲はリスト表示です。テキストのみでジャケットはありません。沢山アルバム入れてる場合は気合で探しましょう。スクロールにも癖がありましてちょっとスワイプするだけで勢いよくスクロールして目当てのアルバムを通り過ぎてしまうことがしばしばあります。今でも慣れませんしファームウェアで改善してくれたら嬉しいです。

再生画面です。ここでジャケットが表示される様になりますが見切れていたり解像度が粗いせいでガビガビだったりとなんだか昔のMP3プレイヤーを思い起こします。操作ボタン以外の箇所をタップするとジャケットのみの表示、左スワイプでプレイリスト等各種設定、もう一回左スワイプで「Life is short, Play more」が表示されます。とくに意味はないような・・・

Bluetooth関連

今どきのDAPらしくM0ProにもBluetooth・USBによるトランスポート、レシーバー機能があります。Bluetoothコーデックは送り出しはLDAC、aptX、AAC、SBCで受けはLDAC、AAC、SBCに対応しています。接続の安定性はいたって良好です。

またスマホアプリのEddict PlayerとBluetoothで連携させることでスマホからM0Proの選曲、音量調整等の操作が出来るようになります。ラインアウトやUSBトランスポートで他の機器と接続して聴くには便利かもしれません。

USB関連

DSD256ファイルが再生できました

スマホリモコンでポタアンをDAP

USBトランスポート機能はメニューにある「USB Mode」で「USB Audio」にしてからUSB-DACと繋ぐとそのまま使える様になります。DSD出力はPCM変換、DoP、Nativeで選べます。本体再生では非対応のDSD256ファイルもUSBトランスポートモードでは再生できました。Eddict Playerによる遠隔操作と小型ボディを活かしてポタアンをDAP化する使い方も出来ますね。使い方次第で夢が広がります。ただしUSB-DACによってはDSD128以上でプツプツ途切れ気味になったりします。相性があるのかもしれません。

USBポートとイヤホンジャックの間が狭いです

USBDAC機能は「USB Mode」で「USB DAC」にしてPCやスマホに接続すると使えます。対応フォーマットは試した所PCM192kHz/24bitまでの様で、DSDやDXDでは音が出ませんでした。USBDACとして接続している間は充電しない様にも出来るのでスマホでも余計に電力を食われずに使うことが出来ます。しかし私のスマホ(Jelly2、AQUOS SENSE6)ではどうにも音が出ませんでした。色々ケーブルを変えてみても駄目でした。相性があるのかもしれません。

追記:SpotifyとPowerampアプリでは音が出ましたがOnkyo HFではどうやっても対応周波数が表示されずに音も出ず、たぶんアプリ独自の音声ドライバには対応してないのだと思います。

USBストレージモード(「USB Mode」で「USB Storage」か「USB Audio」にする)でPCに繋ぐと今どき珍しくMTPではなくMSCとして接続されます。私は挙動がいまいち分からないMTPよりもMSCの方が好きなんでありがたいです。しかし転送速度が遅くUSB3.0ケーブルとポートで接続してSandisk Extreme 256GBでも書き込み速度が20MB/sを下回ります(USB3.0カードリーダーなら80MB/s以上出ます)。急ぎで無いなら充電も兼ねて気長に待つ使い方が良いのかもしれませんね。頻繁にカード出し入れしてると保護カバーもげそうですし。ライブラリスキャン速度は500曲ちょっとで3分くらいで、この間は操作が出来ません。スキャンは自動か手動かで選べるのでうっかりストレージとして接続しても再スキャンが始まらないように出来るのは嬉しいですね。

音質

イヤホンはWestone PRO X50やゼンハイザーIE600、ヘッドホンはゼンハイザーHD660Sで聴いてみました。バランス接続ならHD660Sでハイレゾクラシック音源でも十分音量が取れました。

音質はひとことで言うならば広がりは乏しいもののやや硬質で迫力のあるサウンド、でしょうか。ESSのDACチップを使ってるから、というのは短絡的ではありますが手持ちのFiiO BTA30PROやこの間視聴したEarmen ANGELといったESSチップ搭載機に通づる硬さが感じられます。とはいえBTA30PROのようなキツさやANGELのように一音一音を粒子の如く解像する性能は無く、程よい硬さ具合で長時間のリスニングでも疲労感が少ないです。低域が膨れ気味なので硬質さと相まって屋外で聴いても騒音に負けないパワフルなサウンドです。反面広がりや奥行き感、残響が控えめといった音響空間の表現は乏しく、この辺りは上位の大型DAPに譲ることになります。しかしこういった空間表現を堪能するのはそれなりに静かな環境も必要なので騒音下で聴くならM0Proの音作りが好ましいです。

バランス接続で聴くと、シングルエンドより音の左右への広がりや駆動感が大幅に向上するように感じられます。HD660Sは非力なアンプだと中域以下の響きが緩くなりがちですがM0 Proならそこそこ締まりのある音が出てると思いました。こんな小さなDAPでもヘッドホンを満足に鳴らせるのはすごいですね。

まとめ

M0 Proはその小さな見かけによらず想像以上に実力を持ったDAPだと思います。癖のある操作感や粗い解像度のディスプレイは大昔のMP3プレイヤー、それこそiPod nano 第6世代のようなスタイリングを思い起こす一方でBluetoothやUSBトランスポート・レシーバー機能やバランス接続対応と現代的な機能が備わっており、さらにスマホアプリにて本体操作が出来るのでライン出力やUSBトランスポートでアンプやDACと組み合わせることで音質の良さと利便性の良さが両方そなわり最強に見える物体を作れそうな、そんな無限の可能性を感じさられます。音質面で言えばハキハキとした迫力重視なサウンドで屋外で聴くには好適です。

というコトで個人的にはナイスな製品ですが、いざ他人に薦めるとなるとどうでしょうか。初めてDAPを使いたいとなると程よい大きさでストリーミングアプリの使える売れ筋のAndroidDAPが良いと思いますし、スマホで音質向上したいというのであるならばM0 Proで無くとも同価格帯でBluetoorthレシーバーやドングルDACといった選択肢が豊富にあるしそちらの方が使いやすいと思います。となるとどういう人に薦めるかと言えば、普段リッピングやダウンロード購入でFLACファイルを聴いててメインで据え置きや大型DAPを持っているけれども外出用に小型軽量でいてそこそこ音が良いDAPが欲しい、つまり私みたいな人におすすめでしょうか。実際私は満足しています。とは言えレビューを鵜呑みにせず試聴は大事です。実機を触れるなら実機を触りましょう。

というワケで私の外出用DAPは当面M0 Proに決まりました。SR25MKIIもたまに持ち出しますしじっくり聴く分にはまだまだ優れてる所があると思うので自宅や実家のような安心感のあるくつろげる場所でのリスニングや、イベントでの新製品に対するガチめの試聴にも使いますしまだまだ活躍してもらいます。ウォークマンA50は・・・まぁ、うん。

買ってよかったです。おわり

*1:本体を購入した店で欠品だったので別の店で買いました