#おかしぃオーディオ

オーディオ製品の感想を書いていきます。たぶん

Ultimate Ears Reference Remastered カスタムIEM レビュー

Ultimate Ears Reference Remastered(UE-RR)とかいうカスタムIEMを作ってもらったのでレビューという名の感想を書いていきます。初カスタムなので装着感とか遮音性がどうのこうの書く感じです。よろしくお願いします。

購入経緯

今年は兎年なのでウサギといえば耳、耳といえばイヤホン、なのでなんか特別なイヤホンが欲しいなぁ〜となり前から試したかったカスタムIEMを作ってもらうことにしました。超安易!

カスタムIEMが手元にくるまで

ざっくり説明すると…

耳型(インプレッション)採取→機種選択→色とかのカスタマイズ→前金オーダー→受け取り

って感じです。

インプレ採取は耳鼻科とかでやってもらう必要があるんですがいつも行ってるイヤホン屋さんがインプレ採取できるとのコトで餅は餅屋と言いますか、イヤホン屋さんで出来るならそっちの方が確実だろうと思ったのでそこでやってもらいました。両耳にシリコンみたいな緑色の物体を注入されて待つこと5分(耳栓効果めっちゃ高くて静かです)、固まった物体を耳から引っこ抜いて採取完了です。採取の際に口を閉じるか開けるかでインプレの形が変わり、完成したカスタムIEMの装着感が緩めかキツめかで変わるとのコト。私は初めてでそこら辺の違いが全く分かんなかったので標準の閉口状態で採取しました。

採取が終わったらインプレを持ってそのままカスタムIEM売り場へ直行し機種選択に移ります。ここは自分的に高い買い物なのでしっかり視聴しました。リファレンスサウンドなUE-RRとノリノリで聴けるUE11Proでしこたま悩んだ末UE-RRにしました。

機種が決まったら色とか諸々の仕様を自分に合う様にカスタマイズしていきます。なんかフェイスプレートに自前で用意した画像を入れられるそうですが特に考えてなかったのでテキトーに決めました。

全部決まったら支払いを済ませて完成品が届くまで待ちます。届くまで2ヶ月くらい掛かると言われましたが実際に届いたのは3週間足らずでした。はっや。

Ultimate Ears

カスタムIEMといえばUEってくらい有名なメーカーですね。日本だとその昔10ProことTirple.fi 10Proで有名になりました。私は当時3スタを使っておりました。

そんで、カスタムIEMは単に耳型の通り作れば良いワケではなく、装着しても痛みが無いようにだとか動き回っても安定して付けてられるように形状に工夫が必要で、それには経験やノウハウによるものが大きいそうです(聞きかじり)。その点UEは老舗でシェアも高いゆえ経験豊富で失敗しにくいだろうという判断で今回UEを選びました。

外観

箱です。業務用だからか簡素です。付属品はケースとクリーニングツールとクロス、アッテネーター(音量下げるやつ)です。カスタムなのでイヤーピースは付いてません。ケースに記名できるカスタマイズがあってUEのロゴの下に「Handcrafted for 〇〇」と印刷が入るそうです。無記名だったので入ってません。STRONG ZEROとか記入しときゃ良かったかと若干後悔。

本体です。左右の形が違います。人間の耳は左右が違うとのコトですがこうやって目に見える形にされると思った以上に違ってて驚きますね。こんなんで大丈夫かと思うんですがピッタリ合うので大丈夫です。画像でぼかしてる部分はモデル名とシリアルナンバーの他、オーナーの氏名の頭文字と思しきアルファベット二文字が印刷されています。これぞオーダーメイドの醍醐味って感じで所有欲をバンバンに満たしてくれて良きですね。

リケーブル端子はIPXコネクタです。以前紹介したWestone PRO X50のT2コネクタと同形状ですがIPXコネクタの方は防水防塵に対応しているそうです。Westoneに比べて接続部がグラグラせずにしっかりした作りになっています。付属ケーブルはSuper BaXです。以前よりWestoneで使ってて細くて扱いやすいのに丈夫に作られてて大変気に入っており、このケーブルを採用しているってのもUEを選んだ理由です。

装着感

めっちゃピッタリフィットします。まるで私の耳にあつらえたかの様…いや実際にあつらえてるので当然っちゃ当然なんでしょうけどまるで耳の凹凸に引っ掛かってピタッと固定している様な感覚があります。引っ掛かるといえば装着方法がユニバーサル型みたいに耳穴に押し込むのではなく耳の凹凸に合わせて引っ掛けていく感じなので届いて最初の頃は装着に少々慣れが必要でした。シェルが外耳全体に接触しており圧力がうまいこと分散しているおかげでしょうか長時間付けてても痛みが生じることがありませんでした。

ちなみにカスタムIEMにはリフィットと呼ばれるアフターサービスがあって、手元に届いて一定期間内、装着感に不具合がある場合にシェル形状を修正してもらえるのですが私の場合特に不具合が見られなかったのでこのまま使うことにしました。人によっては上手く装着できなかった例があると聞いてたのですがひとまず安心です。

遮音性

装着すると周囲の音が全音域で小さくなった感じがします。今まで使ってきたイヤホンだと低音が身体に響いたりアクティブNCの様に高音がシュワシュワする不具合が無くて自然に遮音してくれるようです。遮音性の高いイヤホンというと耳栓している様な圧迫感がするものですがUE-RRではそういった圧迫感がほとんど感じられないため長時間の使用してても疲労感が少ないです。

それと装着したまま歩き回ってもドスドス歩行音が身体に響くことが無く、代わりにガサガサ鳴るんですが小音量でも音を鳴らせば気にならなくなるので移動しながらの使用も快適です(遮音性が高いので周囲の安全に気をつける必要があります)。

音質

AK SR25MKII DAPやEarmen Angelポタアンで聴いてみました。UE-RRの音質は一言でいえば派手さが無いものの全音域で見通しが良くやや硬質気味なサウンド…でしょうか。

音の立ち上がり・下がりが速く、余計な付帯音が無くて音源をありのままに鳴らしている感覚です。音域の両端がスパッと切られているような聞こえ方で高音では空気感が乏しく、また重低音域も控えめなので、演奏の中にいるのではなく、少し離れている位置で淡々と鳴っているのを客観視しているような印象です。そのお陰で音が重なり合う場面でもどの音がどう鳴っているかが分かり易い利点があります。

一音一音を明瞭に鳴らす割には刺さる様なキツさは少なく聴きやすいです。遮音性が高いのもあって小音量のリスニングでも十分満足感が得られるので耳に優しいイヤホンとも言えます。

聴いてる内になんとなくER-4Sっぽいかなと思い聴き比べたところ確かに音のバランスは似ているもののUE-RRの方が出音が落ち着いており一定の距離から音が飛び出しては来ない様コントロールが行き届いているのに対しER-4S(三段キノコ)では中高域が前に飛び出してくる感覚があり荒っぽさもあって相対的になんというかワイルドに聴こえてしまいます。なお装着感は対極にあります。

音場はIE600あたりと比べるとやや狭めな印象ですが、音像がくっきりしているお陰か定位感が安定していてどの位置から音が鳴っているかが分かり易いです。ゲームでも音が爆発音とか大きな音に埋もれずに足音がはっきり聞こえてくるのでゲーム用途に選ぶのもアリかもしれません。重低音が少ないので迫力はいまいちですが音響の立体感に優れるので意外と没入感があります。遮音性も装着感も良好で疲れにくいのでゲーム用途に選ぶのもアリだと思います(2回目)。

まとめ

というワケでUE-RRカスタムIEMの紹介でした。正直なところ、ユニバーサル型が音質は勿論のこと遮音性や装着感も向上しまくってる現在あえてプロでもないのにわざわざカスタムIEMを使う必要があるのかと個人的に疑問を抱いておりましたが、実際に使用してみて遮音性の高さと快適な装着感を高い水準で両立している点でカスタムを選ぶ利点は十分にあると思いました。むしろ快適すぎて他のカスタムIEMに興味が湧いてきたぐらいです。一方でオーダーから完成まで時間が掛かる(UEは早い方ですが)のとうまくフィットしないリスクがある点で他人に勧めづらいものがあります。

もうちょっと気軽にカスタムIEMを楽しめる仕組みがあれば良いのになぁなんて思います。例えばAcoustune 笙みたいにカスタムモールドとドライバーユニットをモジュール化してユーザーが自由に組み合わせ出来るとかすればモールドさえ作ってしまえば別のイヤホンにしたければドライバー側を交換すればすぐに出来上がるんで色々楽しめそうです。その点で言えばカスタムイヤーピースなんてのも気になりますね。

何にせよ、カスタムIEMがどういうものか知れて良かったです。これで今後新作イヤホンを視聴した際に装着感が良かった場合に「まるでカスタムIEMみたいだぁ」といったことを堂々と言えますね。そういった点でもリファレンスになりそうです。

買ってよかったです。おわり